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3月に福岡市で開催された、『日本デイケア学会年次大会福岡大会』に参加してきました。2日の間に精神科デイケアに関する講演・セミナー・シンポジウム・口演が多数あり、その中から自身が聴講・参加したいものを選んで聴講・参加する形式でした。
私が聴講した中で印象深かったシンポジウムの講演に、以下のようなものがありました。
熊本県の益城病院精神科デイケアに所属する演者の講演です。
益城病院では、神経発達症(発達障害)を持つ18歳未満の人を対象として、デイケアでのスポーツプログラムという実生活場面に類似した場において、神経発達症的特性を持ちながらも衝動コントロールを自分で行なえる対処法の獲得を目的とし、プログラムを運営している。
スポーツはあえて勝敗のつくチーム戦で行ない、勝敗という結果に直面することによって生じる、衝動コントロールが必要な場面において、そのコントロールする上手い対処法を学んでいく構成となっている。
例えば、負けた相手に「くそ!バカ!」と言う子がいたが、「オーマイガッ!」と言うやり方を教え、その子も実践するようになった、というものである。
同様に、負けた時に頭を壁に打ちつける子には、思い切り地団太を踏んでよい、と教え、その子は実践するようになった、というものもあった。
このように、負けた時に「悔しい!」という思いを変えさせるのではなく、また、何も言わないようにさせるのでなく、行動を少し変えて適応を高めるやり方を教えている、ということだった。
当院のアミーゴも、スポーツプログラムには代々力を入れてきており、特にソフトバレーボールの県大会で勝利する、という目的でやってきていますが、同じスポーツプログラムでも益城病院の治療の狙いは全く異なるところにあり、「こういう狙いでこのプログラムをやるというビジョンは自分にはなかった、なるほど」と思うところがありました。
年次大会参加から後日、精神科デイケアアミーゴ内の同僚数人にその報告書を読んでもらい、感想を聴かせてもらいました。
その中の同僚Nさんから、この講演について印象的な感想をもらったので、それを抜粋します。
『その人の特性をスタッフが理解した上で接し方と、役割とか、スタッフが考えてやることによって、その人にとってだいぶ今後が左右されるんじゃないかなと思いました。スタッフの知識があるかないかで発達の方に対して接し方が変わるんだなと。知識があるスタッフがいるとその人も生きやすくなる。神経発達症を持つ子たちに対して、スタッフの知識によって左右されるというのは思いましたね。こういうのの勉強会とかあると知識が身につくので、やってほしいなと思いました。支援側が知らないってことはいけないんだな、と』
私自身、精神科支援に関わる以上、知識を常にアップデートしていかねばならない、と考えています。
知識が足りないと、支援を受ける方にとって必要なものが何であるかが支援者側がわからず、有効な支援の提供につながらない、ということになります。
逆に、知識があると有効な支援の提供につなげられる、ということになります。
有効な支援の提供により、支援を受ける方のこれからの人生が変わるかもしれないという、重要な分岐点を、我々支援者は担っています。
このように私は常日頃考えていますが、それに非常に近い感想をNさんが語ってくれたのは、非常に嬉しいことでした。
チームとして、今後更に支援の質を上げていけるかもしれない、と。
そして、このような共有に至れたのは、福岡という遠方にも関わらず出張扱いで年次大会に参加させてもらえたからであり、その点私は恵まれているなと感じます。
あとは、我々が今後いかに、実際の支援という形にしていけるかにかかっています。
精神科デイケア“アミーゴ”スタッフ
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