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精神科デイケアアミーゴの通所メンバーには、それぞれの好きなもの・得意なものがあります。
通所メンバーの森さんは編み物が得意で、ニット帽は半日程度で編み上げてしまいます。
毛糸のみに限らず、ピニールひもでバッグもたちまち編んでしまいます。
ある日、アミーゴの昼食の熱い鍋を置く鍋敷きが必要、とスタッフ間で挙がりました。
そこで、編み物を日頃好んで行なっており、得意でもある森さんに私が切れ端の麻ひもを見せて<鍋敷き編めますかね?>と尋ねたところ、「編めますよ」「(専用の)編み棒持ってきます」と二つ返事でOKしていただけました。
ただ、その後私が店舗で麻ひもを見てみると比較的値段が高く、編めたとしてもかなり高価な鍋敷きになってしまいます。
しかしその後、他のスタッフが100円ショップで見つけてきてくれた太い麻ひもで森さんに試し編みしてもらうこととなりました。
太い麻ひもを森さんは独自に2つに割いて編んでいきました。いつも通りどんどん編んでいきますが、途中まで編んだ段階では麻ひもの硬さにより、鍋敷きが平面でなく歪みが生じていました。
ただ、水で濡らして熱を加えつつ圧迫すれば整形できる、という情報があり、実際試してみると、見事に平面に近い形となりました。
そこで、100円ショップで更に同じ麻ひもを購入してきて、更に編んで大きさを大きくしていき、大鍋を置けるサイズの鍋敷きが完成しました。
以降、昼食時に鍋ややかんを置くのに毎回大変重宝しています。
精神科デイケアでは、メンバーの好きや得意を生かす、という方向性で時に支援をすることが重要になることがあります。
以前、ピアノ経験のある通所者の方に七夕会で演奏を依頼し、ピアノ伴奏に合わせて皆で七夕の歌を歌う、ということもしました。
自分の好きや得意に光が当たることもあるのだ、人の役に立つことができるのだ、という経験は、精神科リハビリテーションにおいて重要な役割を果たします。
2015年の日本デイケア学会大阪大会の施設見学で行った病院で教えていただいた内容、翌日に同じ病院が演題発表した内容がまさに“通所者個人の好きや得意を生かす”内容で、大変感動したことが私は今でも心に残っており、それ以降、アミーゴでの支援にも生かしたいと私は考えてきました。
今回の鍋敷き編みが、森さんにとってよい体験となっていてくれたら嬉しいな、と思っています。
記事作成:精神科デイケア“アミーゴ”スタッフ 上野
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